AIを活用した水道管路劣化予測

福岡市では日々の生活を支える上下水道や道路などの維持管理を適切かつ効率的に行うため、インフラテック実証プロジェクトを実施し、この度、「AIを活用した水道管路劣化予測」実証プロジェクトを実施します。

1 実証プロジェクトの目的

福岡市では、埋設した水道管の劣化状況を把握するため、道路を掘削して調査を行っており、これまでの調査データを蓄積・分析することで、全管路の劣化状況を予測して実質的な耐用年数を設定し、計画的に管路を更新しています。今後も、約4,000kmにも及ぶ市内の配水管をより効果的に更新していくために、調査を継続し、更なる予測の精度向上を目指しますが、掘削調査は時間を要し年間の調査数に限度があるため、精度向上には相当の期間が必要という課題があります。
そこで、今回の実証プロジェクトでは、福岡市がこれまで蓄積してきた管路の劣化に関する知見と民間事業者がもつAI技術を掛け合わせ、スピーディーでより精度の高い管路劣化予測の研究に取組みます。この研究をもとに、より効果的な管路更新が実現すれば、今以上に漏水リスクの軽減が期待されることから、世界トップの低い漏水率を維持し続け、将来にわたる水道水の安定供給へつながっていきます。

2 実証プロジェクト期間

令和4年9月1日から令和5年3月31日まで

3 提案事業者及びプロジェクト概要

企業名 プロジェクト概要
株式会社クボタ

■研究目的
福岡市が所有する各種データをAI技術で解析し、水道管路の老朽度評価の予測精度向上を図るとともに、適切な更新率を提案
■研究概要
(1)福岡市が所有する各種データをAI技術で解析し、自社開発した水道管路の老朽度評価方法の更なる予測精度向上を図る。
(2)水道管路の更新優先順位付け、及び管路更新による効果を長期的に評価することにより、適切な管路の更新率を提案する。
■特長
約50年間にわたる日本全国の管体の腐食深さ及び土壌の調査データを基に、高精度に漏水事故率を算出する手法を開発
・その結果を基に更新優先順位を決定し、将来の漏水事故件数を大幅に低減できる適切な更新率を提案
日本鋳鉄管株式会社
Fracta Japan株式会社
■研究目的
AI×ビッグデータによる管路劣化診断結果のアセットマネジメントへの活用可能性を検証
■研究概要
(1)AI×環境ビッグデータで管路の劣化診断
(2)更新工事予定路線の一部と診断結果を照合
■特長
・独自に収集・構成した環境ビッグデータを活用。人口、土壌等1,000以上の変数からなるデータベース及び福岡市が有する管路情報(口径・管種・布設年度等)、漏水履歴を活用し、AIによる劣化予測を行う
・管路データにエラー値や欠損値がある場合もAIが補完可能
・主に更新計画の見直し、漏水調査エリアの選定、技術継承に活用
・国内30事業体において診断・導入実績あり